第四話:婚約指輪の輝きを決めるもの
「指輪のデザインは決まったけど……ダイヤモンドって、どう選べばいいんだろう?」
たいしはガラスケースの向こうに並ぶ美しいダイヤモンドを見つめながら、少し戸惑った様子を見せた。確かに、デザインは重要だが、ダイヤモンド自体の質によっても印象は大きく変わる。
まみは優しく微笑みながら言った。
「ダイヤモンド選びは、4Cが基本だよ。カラット(Carat)、カラー(Color)、クラリティ(Clarity)、カット(Cut)の4つが品質を決める大事なポイントなの。」
「4C……?」
たいしは聞き慣れない言葉に少し驚いた。
「まず、カラットはダイヤモンドの大きさを表しているの。一般的にカラット数が大きいほど価値が高くなるけど、大きければいいってわけじゃないんだよ。」
「なるほど……。みさきの手元に合うサイズ感も大事ってことか。」
「そういうこと! 次にカラー。ダイヤモンドには無色透明なものから少し黄色みを帯びたものまであるんだけど、無色に近い方が評価が高いの。でも、ほんの少しの違いなら肉眼ではほとんど分からないこともあるよ。」
「ふむ……。じゃあ、見た目の印象も大事にしながら選ぶべきなんだな。」
「うん! それからクラリティ。これはダイヤモンドの内包物や傷の少なさを表しているんだけど、肉眼では分からないレベルのものも多いから、あまり神経質にならなくても大丈夫。」
「最後のカットは?」
「カットはダイヤモンドの輝きを左右する、一番重要な要素なの。カットの仕上がりが良いと、光をしっかり反射してキラキラと輝くよ。だから、4Cの中でもカットには特にこだわるといいかもね。」
たいしはじっとダイヤモンドを見つめた。
「なるほど……。つまり、バランスが大事ってことか。」
「そうだね。どのポイントを重視するかは人それぞれだけど、みさきにとっていちばん輝いて見えるものを選んであげるのが大切だと思うよ。」
たいしは深く頷いた。単に高価なものを選べばいいわけではなく、彼女の手元に似合い、心から喜んでもらえるものを選ぶことこそが大事なのだ。
「ありがとう、まみ。ダイヤモンドって奥が深いんだな。」
「ふふっ、そうでしょ? でも、たいしならちゃんとみさきにぴったりのダイヤモンドを選べると思うよ。」
たいしの目が真剣な輝きを増した。
(みさきがこの指輪をつけて、笑顔になる瞬間が楽しみだ……。)
こうして、たいしの婚約指輪選びは次のステップへと進んでいく。
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